一方、多くの方が“本当に?”と疑問形で考えているのが生産コストの問題だろう。東日本大震災以降、海外への工場移転などを検討している日本企業が増加していると報道されている中、外資系企業の日本HPが国内生産比率を上げていくというのだから。
清水氏によると、企業向けのノートPCは特別な場合(納期が長く、さほど複雑なカスタマイズもしない場合など)を除き、8~9割を東京生産にしていく方針という。ケースバイケースだが、8~9割のケースにおいて東京生産の方が安くなるからだ。
では、1台のPCを作る際に必要な人件費が4倍という日本で生産する方が安価という理由は何だろうか?
「競合他社と戦っていくためには、サービスや品質、納期で大きく負けることはできません。しかし納期を短くしようとすると、輸送に飛行機を使う事になるため物流コストが高くなります。さらに生産設備コスト。この中には、長いサプライチェーンの中で何らかの問題が発生し、再作業しなければならないといった事例も含まれています。前述したように、輸送途上の製品が多くなれば問題への対応速度も遅くなり、特別な対応をせざるを得ません。さらに昭島工場は、HPが持つ中国の工場に比べ1人当たりが必要とする作業面積が半分なことも無視できません。そうしたさまざまなコストを積み上げると、東京生産の方が安くなるんです。安くならないケースもありますが、そうしたものは中国で生産します」(清水氏)。